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エクソソーム治療薬とは?今後の実用化に向けた動向を徹底解説!

「最近よく聞くエクソソームって何?」「美容クリニックのエクソソーム点滴の詳細を知りたい」など、エクソソーム(Exosome)の存在が気になっているという方も多いのではないでしょうか。エクソソームは体内にある細胞の一種で、ごく小さいながらも特殊な働きをします。

この働きによって、医療分野では「これまで治療薬のなかった疾患の治療が可能になるのではないか」と、注目を集めているのです。また、美容医療ではエクソソームの再生力に期待が寄せられています。この記事では、エクソソーム治療薬について詳しく解説していきます。

エクソソーム治療薬について詳しく知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

エクソソーム治療薬とは?

エクソソームとは、細胞から放出されるごく小さな袋状の物質のことです。エクソソームは、バイオテクノロジーや再生医療の分野で、幅広く活用できると期待を寄せられています。エクソソームは細胞の情報を包み、細胞外へ放出された後、遠い部位にある別の細胞へ情報を運びます。

情報を伝達するだけでなく、細胞外に存在する病原体を排出したり傷ついた細胞の修復をしたりすることも明らかになりつつあります。具体的には、がんや膠原病といった細胞レベルでの疾患を治療する薬の開発・研究が盛んに行われているのです。他にもエイジングケアの分野でも注目されており、美容医療としても注目されています。

エクソソームとは?

エクソソームとは、人間の体内にある細胞から放出される小胞です。エクソソームは細胞間で情報を受け渡しています。たとえば、がんの情報を別の細胞に渡してしまうため、転移が促進されます。しかし、体にとって良い影響を及ぼすことも可能です。

「善玉エクソソーム」または「ヒーローエクソソーム」と呼ばれる細胞は、肝機能や心機能の改善、炎症を抑える働きが明らかになっています。これまで治療が難しいとされてきた疾患も、エクソソームの働きを利用すれば、改善できるかもしれません。

エクソソーム治療薬の特徴

エクソソーム治療薬は、従来の治療薬と何が違うのでしょうか。ここではエクソソーム治療薬の特徴を解説します。

  • エクソソーム治療薬の強み
    エクソソーム治療薬を他の治療薬と比べると?

それぞれの項目を詳しく解説していきます。

エクソソーム治療薬の強み

エクソソーム治療薬の一番の強みは、薬効成分が多岐に渡る点です。エクソソームの細胞内が抱える情報には、RNAやたんぱく質、脂質などが含まれています。免疫に関する情報も抱えているため、体内の複雑なメカニズムにおいて、複合的に作用するのです。

治療が困難な疾患の中には、病態が複雑な疾患も多く存在しています。エクソソーム治療薬であれば、病態が複雑な疾患に対しても、薬効が期待できるでしょう。薬の効果も特定の標的に強力に作用するのではなく、原因として考えられるさまざまな部位に優しく作用するため、安全性も高いと考えられています。

エクソソーム治療薬を他の治療薬と比べると?

エクソソーム治療薬はこれまでの薬とは異なり、複合的に作用するという特徴があります。その他に、どのような特徴を持っているのでしょうか。下記3つのポイントにわけて、既存の細胞医薬と比較していきます。

  1. 品質
    安全性
    即効性

それぞれの項目を詳しく解説します。

品質

従来の再生細胞医薬は、試験管内での特性分析だけで、体内での働きを予測することが困難でした。しかし、エクソソーム治療薬は、膜たんぱくや粒子径など、粒子レベルの解析が可能です。さらに機能分子の種類と量を規格化することで、医薬品レベルの品質管理を実現できます。

また、従来の細胞製品は超低温で保存する必要がありました。一方、エクソソーム治療薬は安定性が高く、冷蔵で長期間安定するので、品質を保ちやすくなっています。

安全性

エクソソームは体内の細胞から放出されるごく小さな顆粒状の細胞です。その大きさは50〜150ナノメートル(10億分の1メートル)であり、毛細血管よりも小さいです。静脈投与する際にも塞栓リスクが低く、増殖もしないため、安全性が高いといえるでしょう。

即効性

エクソソーム治療薬は、従来の細胞医薬よりも即効性に優れています。なぜなら、エクソソーム治療薬は細胞由来の薬効成分を精製した後、直接投与を行うためです。

効果が長時間持続するという点では細胞医薬に劣る可能性があるものの、反復投与をすればデメリットは解消できるでしょう。また、エクソソーム治療薬は用量を増やすことで、効果の増強も見込めます。

エクソソーム治療薬の活用事例

エクソソームは研究・開発段階にあるものの、現状で治療薬に用いられた事例もあります。一例として、独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター)で行われた研究結果を紹介します。

関節痛などの痛みに対してエクソソーム治療を行ったところ、抗炎症作用により、滑膜細胞や軟骨細胞より分泌される炎症因子が抑制され、痛みが軽減されたと報告されています。

エクソソーム治療であれば、慢性的な不調や悩みを解決できるかもしれません。また、エクソソームは痛みへの治療だけでなく、肌細胞の再生も期待されており、アンチエイジングケアを目的として、美容医療分野でも注目されています。

参考:エクソソームに着目した変形性関節症における軟骨変性の機序の解明
参考:筋骨格系疼痛に対する間葉系幹細胞培養上清液の治療効果

エクソソーム研究によってどう変わる?

エクソソーム治療はこれまで治療が困難とされてきた疾患や、病態が複雑な疾患にも効果が期待できそうです。たとえば、カリフォルニア州に拠点を置く臨床企業のAetholon Medical社では、治験用医療機器「Hemopurifier」を設計しました。

Hemopurifierは、細菌毒素・がん・ウイルスに関するエクソソームを捕捉し、疾病治療に役立てています。これまでの実績として、C型肝炎、エボラ出血熱、HIV、COVID-19の患者の治療に活用されています。

臨床試験中のエクソソーム治療薬

世界中の臨床研究に関するデータベース「ClinicalTrials.gov」によると、エクソソームを用いた臨床試験は200件程度登録されています。そのうちのおよそ半数が、がん診断に関する治療です。その他にも下記の疾患に対する臨床試験が実施されています。

  • 神経系疾患
    循環器系疾患
    肺疾患

このような疾患は早期発見が重要です。診断にエクソソームを用いることで、早期の発見につながり、予後を良くしてくれるでしょう。その他にもアラバマ大学バーミンガム校でパーキンソン病、リトアニア健康科学大学で喘息、ボストン大学で慢性外傷性脳症(CTE)の臨床試験が実施されています。

このように、エクソソームは世界各地で研究されており、一日でも早い実用化に向けて動き出しています。

エクソソーム治療薬の実用化の壁

エクソソーム治療薬を実用化するにあたり、壁になっているのは製造の工程です。エクソソームは原料となる細胞培養上清を製造する組織、実際にエクソソームを精製する組織の2つにわかれます。しかし、現状では前者と後者が独自に研究を進めている状態です。

なぜなら、細胞培養上清とエクソソーム、それらに含まれる生理活性物質はまったく異なる性質を持っているからです。さらにエクソソームは細胞や培地・細胞の培養方法・エクソソームの精製方法によって、薬効や活性に大きな違いが生じます。

すべてを一貫して行う環境を構築するのは現時点で非常に難しく、実用化にあたっての大きな壁になっているのです。複数の機関や医療機関が強固に結びつき、研究・開発をする体制が求められています。

エクソソーム治療薬の今後の動向

このまま臨床試験が進んでいけば、エクソソーム治療薬は新たな治療方法の1つになるでしょう。特に天然型のエクソソーム治療薬は、ここ数年のうちに実用化されると予測されています。直接拡散などによって近隣の細胞に作用する薬効を期待する再生医療等製品分野では、従来のエクソソーム治療薬がさらに進化し、10年以内には多くの人が使用することになるでしょう。

また、治療薬としてだけでなく、遺伝子治療や核酸医薬(核酸が遺伝子発現を介さず直接生体に作用し、化学合成により製造される医薬品)にも広がりを見せていくはずです。従来の医薬品と比べてもエクソソーム治療薬は安全性が高く、高い効用が期待できます。近い未来には標準的な治療方法になっていくでしょう。

まとめ

エクソソーム治療薬は、これまでは不治の病とされてきた疾患や、複雑な治療方法が求められる病にも効果が期待できます。さらにエクソソーム治療薬は品質も安定しており、従来の細胞製品よりもクオリティを保ちやすい点も安心です。2000年代以降、エクソソームに関する研究・開発は急激に進んでいます。

医療だけでなく美容医学からも細胞の再生力に注目が集まっており、実際に点滴などのメニューに組み込まれているケースもあるようです。今後はさまざまな場所で、エクソソーム治療薬を目にする機会が増えるかもしれません。

記事監修

足立 真由美

医療法人 涼葵会 理事長
足立 真由美
Adachi Mayumi

経歴

2001年 和歌山県立医科大学卒業、同年大阪医科大学形成外科教室入局
大阪医科大学大学院医学研究科卒業 医学博士取得
2003年 医療法人東和会 第一東和会病院形成外科勤務
同院、美容皮膚科・美容外科の設立に携わり、管理責任医師を担当。
2010年 某美容クリニック院長に就任
2014年 大阪心斎橋に、今までにない新たなコンセプトの美容クリニック「W CLINIC」を立ち上げる。
2017年 医療法人涼葵会 理事長に就任
2019年 医療法人涼葵会 W CLINIC 梅田院 開院

プロフィール

美容医療の豊富な経験から美容医療の枠を超え、東洋医学・アーユルベーダ等のホリスティック医療を展開。「美は健康な身体から」をテーマに、美容クリニックとは思えない多彩なアプローチで、最新の美を提供する大阪で注目されるクリニック。

中木 義浩

管理医師 アレルギー外来医師
中木 義浩
Yoshihiro Nakaki

経歴

1986年大阪市立大学附属病院 耳鼻咽喉科・形成外科 勤務
1990年社会医療法人景岳会 南大阪病院 耳鼻咽喉科 勤務
1991年医療法人宝生会 PL病院 耳鼻咽喉科・形成外科 医長
1994年大阪市立北市民病院 耳鼻咽喉科 医長
1998年なかき耳鼻咽喉科 院長

資格

・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・補聴器相談医

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