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脊椎損傷の治療における幹細胞由来エクソソームについて!治る可能性はある?

今までの医療では、「脊椎損傷」は治らない病気というのが常識でした。しかし、これから「脊椎損傷は治る病気」といえる日が来るかもしれません。

この記事では、幹細胞由来のエクソソームを用いた再生医療について、従来の治療法と比較しながら解説していきます。脊椎損傷の症状や原因もあわせて紹介するので、この記事を参考にしてみてください。

脊椎損傷に関する基礎知識

脊椎損傷は、思わぬ転倒などの事故により脊椎を損傷してしまい、障害が残る病気のことです。日本には脊椎損傷の患者が約15万人おり、毎年約4~5千人が罹患しているといわれています。

人間の身体は脊椎という背骨によって支えられており、脊椎の中には運動機能や感覚などを担う脊髄と呼ばれる神経が通っています。また、身体と脳の各部位を連結させる経路となるのも、脊髄が持つ重要な役割です。

脊椎損傷はどの年齢層でもみられる病気ですが、70代の方が最も多く罹患していることがわかっています。これは、高齢化に伴い61歳以上の高齢者が増えており、起立歩行時の転倒が原因となって罹患する高齢者の方が多いためです。

ここからは、脊椎損傷の症状と原因について解説していきます。

脊椎損傷の症状

脊椎損傷の主な症状は「麻痺」であり、さらに「完全麻痺」と「不全麻痺」にわけられます。

完全麻痺は、脊髄が完全に離断されると起きるもので、損傷部位の司る運動機能が完全に無くなってしまいます。具体的には、手足の感覚がわからず、全く動かせないというような状態です。

不全麻痺は、感覚や運動機能が完全には無くなっておらず、感覚麻痺や運動機能の一部のみが残っている状態のことです。残存する機能に関しては、損傷の程度や損傷部位によって異なります。

また、脊椎損傷の症状の特徴は、より高い位置で損傷すればするほど重症度が上がることです。

一般的に上位頚髄を損傷すると呼吸ができなくなってしまい、呼吸器が必要になるような重篤な麻痺が起こることがあります。他にも胸髄を損傷すると、頚髄損傷のケースと比べて完全麻痺の可能性が上がります。

脊椎損傷の原因

脊椎損傷の原因の多くは、重い負荷がかかる外部からの衝撃です。具体的には、以下のような場面で脊椎損傷になります。

  • 高所から転落する
  • 転倒により身体を激しく打つ
  • 交通事故に遭う

若い世代が脊椎損傷になるケースの原因は、スポーツ外傷が最も多いです。他には高所からの転落も多くみられ、このケースでは完全麻痺を起こしやすいという特徴があります。

また、加齢に伴い骨がもろくなっている高齢者の方が脊椎損傷になるケースが増えています。平地での転倒による比較的軽度の頚椎損傷も多いため、自宅での転倒には注意が必要です。

脊椎損傷の原因の多くはケガが原因なため、脊椎損傷を予防するためにも、スポーツをする際のストレッチなどのケアや高所作業時の安全確認を徹底しましょう。

脊椎損傷が治らないといわれる理由

脊椎損傷が治らないといわれる理由は、末梢神経とは異なり脊髄などの中枢神経系は、一度損傷してしまうと修復・再生されることはないためです。

現代の医学においても、これを回復させるための決定的な治療法はまだ確立されていません。これまでの脊椎損傷の治療法では、一度損傷してしまった脊髄を修復・再生させることも、麻痺状態を回復させることもできません。

また、脊椎損傷になってから期間が経過するほどリハビリにも限界が出てくることもあり、脊髄損傷の根本的な治療は実現不可能であるとされてきました。

脊椎損傷における従来の治療法

ここでは、脊椎損傷における従来の代表的な治療法を紹介します。

  • 急性期における治療
  • 慢性期における治療

脊椎損傷の症状は「急性期」と「慢性期」にわけられ、それぞれ治療法が異なります。それぞれ詳しくみていきましょう。

急性期における治療

急性期の治療においては、損傷部位の安静を確保していきます。手術により骨折や脱臼した脊椎を安定させ、ギプスや装具で損傷した脊髄を固定させます。

特に、重症化しやすい頚椎を固定することが重要です。頭蓋骨の手術や牽引により、神経を圧迫している原因の除去を目指します。

また、頚髄や上部胸髄を損傷すると自発呼吸が難しくなるため、呼吸の確保も実施します。脊椎損傷において注意しなければならない合併症は以下のとおりです。

  • 関節可動域の低下
  • 筋力の低下
  • 呼吸器疾患
  • 褥瘡
  • 尿路感染症 など

慢性期における治療

慢性期における治療では、主に運動療法や電気刺激療法などのリハビリを行います。慢性期におけるリハビリの目的は、以下のようなものです。

  • 後遺症を軽減する
  • 下肢静脈血栓などの合併症を予防する
  • スムーズに日常生活を送れるようになる
  • 寝返りの練習をして床ずれを防止する
  • 排泄の練習をする

1人1人の症状に合わせて訓練を行い、社会復帰を目指していきます。ただし、慢性期に入ると麻痺の症状がそのまま残っているケースもあり、根本的な治療が難しいです。

エクソソームとは?

エクソソームとは、核を保有する細胞の中にある多胞体から分泌される細胞外小胞のことです。その大きさは直径50〜15nmと小さく、通常は細胞の外に存在しています。

エクソソームの表面は細胞膜で覆われており、内部にはたんぱく質や核酸(マイクロRNA、DNA、メッセンジャーRNAなど)を含んでいます。私たちの体内にある細胞は生命に必要な機能を維持するのが役割ですが、その中でエクソソームは細胞同士の情報伝達を担うのが役割です。

エクソソームは神経変性疾患(アルツハイマー病)やがんなどの病気と関わりがあるとされ、早期診断・早期治療への応用が期待されています。

幹細胞由来のエクソソームを用いた再生医療とは?

「培養上清液」に含まれているエクソソームには治療効果が期待されており、多くの学術的な研究の対象になっています。まず、培養上清液とは、細胞を培養した際の上澄み液です。

再生医療では、幹細胞(間葉系幹細胞・iPS細胞など)を用いて治療を実施します。本来は治療が困難であった難病や神経障害に対して、組織のもととなる細胞を移植することによって各機能の再生を試みる治療法です。

多くの知見が新たに得られている一方で、細胞を移植するということもあり(場合によっては他人の細胞も)、拒否反応など一定のリスクも存在します。

そこで注目されているのが「培養上清液」に含まれるエクソソームや成長因子です。これらを含む培養上清液は、高い増殖能力のある幹細胞から分泌されており、高い治癒効果が期待されています。

脊椎損傷の治療における幹細胞由来エクソソームの効果と展望

これまでの治療法では回復がみられない脊椎損傷において、幹細胞由来エクソソームが注目されています。脊椎損傷の新たな治療法として、骨髄や脂肪由来の間葉系幹細胞を使用した治療の有効性(組織修復の促進)が報告されています。

このように幹細胞由来エクソソームの効果が期待されている一方で、静脈投与されたエクソソームが損傷部位まで届くのはごく一部だけという課題があるのが現状です。

幹細胞由来エクソソームを損傷部位に留まらせ、その効果を長期間持続させるための技術として、徐放化技術が開発されています。幹細胞由来エクソソームの徐放化技術が確立された場合、新たな再生医療技術として臨床応用される展望があります。

【参考文献】

まとめ

従来の治療法では脊椎損傷の根本的な治療は難しく、これまで治らない病気といわれてきていました。

しかし、幹細胞由来のエクソソームを用いた再生医療では、根本的改善を見込める可能性があります。

幹細胞由来のエクソソームを用いた再生医療技術は現状研究段階にあるものの、今後の進展に期待が持てるでしょう。

記事監修

足立 真由美

医療法人 涼葵会 理事長
足立 真由美
Adachi Mayumi

経歴

2001年 和歌山県立医科大学卒業、同年大阪医科大学形成外科教室入局
大阪医科大学大学院医学研究科卒業 医学博士取得
2003年 医療法人東和会 第一東和会病院形成外科勤務
同院、美容皮膚科・美容外科の設立に携わり、管理責任医師を担当。
2010年 某美容クリニック院長に就任
2014年 大阪心斎橋に、今までにない新たなコンセプトの美容クリニック「W CLINIC」を立ち上げる。
2017年 医療法人涼葵会 理事長に就任
2019年 医療法人涼葵会 W CLINIC 梅田院 開院

プロフィール

美容医療の豊富な経験から美容医療の枠を超え、東洋医学・アーユルベーダ等のホリスティック医療を展開。「美は健康な身体から」をテーマに、美容クリニックとは思えない多彩なアプローチで、最新の美を提供する大阪で注目されるクリニック。

中木 義浩

管理医師 アレルギー外来医師
中木 義浩
Yoshihiro Nakaki

経歴

1986年大阪市立大学附属病院 耳鼻咽喉科・形成外科 勤務
1990年社会医療法人景岳会 南大阪病院 耳鼻咽喉科 勤務
1991年医療法人宝生会 PL病院 耳鼻咽喉科・形成外科 医長
1994年大阪市立北市民病院 耳鼻咽喉科 医長
1998年なかき耳鼻咽喉科 院長

資格

・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・補聴器相談医

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