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エクソソームによる新型コロナワクチンができる?現状の研究内容について解説!

近年、再生医療の分野で注目を集めているのがエクソソームです。このエクソソームをベースとした新型コロナワクチンの開発が多くの大学や研究所で進められています。

この記事では、エクソソームによる新型コロナワクチンはできるのか、現状の研究内容を踏まえながら紹介していきます。

エクソソームとは?

エクソソームは核を持つ細胞の中にある多胞体から分泌される顆粒状の物質です。その大きさは直径50~150nm(10億分の1m)で、表面は細胞膜に覆われています。表面にはたんぱく質・細胞由来の脂質が、内部にはたんぱく質・核酸(マイクロRNA、DNA、メッセンジャーRNAなど)が含まれています。

細胞内の多胞体から分泌されるエクソソームは、細胞間だけでなく、体液(血液、尿、髄液など)にも存在しており、体内を循環しています。エクソソームが持つ重要な機能として注目を集めているのが、細胞間の情報伝達を担う「メッセンジャー」としての役割を果たしている点です。最近では、この「メッセンジャー」としての役割から、エクソソームはがんなどの病気における新たな診断マーカーとしての活用が期待されています。

エクソソームについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

エクソソームとは?注目の再生医療をわかりやすく解説

エクソソームと新型コロナワクチンに関する研究

近年、エクソソームと新型コロナワクチンに関するさまざまな研究が進められています。ここでは、エクソソームと新型コロナワクチンに関する研究について解説していきます。

エクソソームがベースの新型コロナワクチンの開発

ノースカロライナ州立大学において、エクソソームがベースの新型コロナワクチンが開発されました。この新たな新型コロナワクチンは肺の細胞から分泌されたエクソソームをベースに用いており、これまで使われていた筋肉注射によるマイクロRNAワクチンとは異なり、直接ワクチンを肺に届けられるようになりました。

本研究における実験では、このワクチンが2回投与されたハムスターにおいて、炎症性疾患や重症肺炎の浸透が軽減したとの報告がされています。また、このエクソソームがベースの新型コロナワクチンは、乾燥・凍結した後に3ヶ月の常温保存が可能です。そのため、-90~60℃で保管することが推奨されていたこれまでのマイクロRNAワクチンにおける輸送方法や、診療所における保管方法の課題を解決できるのではないかといわれています。

参考文献:「Exosomes decorated with a recombinant SARS-CoV-2 receptor-binding domain as an inhalable COVID-19 vaccine」

ワクチンに代わるエクソソームを使った新型コロナの新たな予防法

エクソソームは、ワクチンに代わる新型コロナの新たな予防法としても注目されています。エクソソームには、コロナ重症化の予測因子としての活用、補充・除去することによるコロナ治療の可能性が期待されています。

エクソソームがコロナ重症化の予測因子として使える可能性がある

先述のとおり、エクソソームはがんなどの病気における診断マーカーとしての活用が期待されている物質です。他にも、がんにおける早期発見・予後予測・再発検出などのさまざまな研究が進められています。このように「エクソソームはがん治療のあらゆる段階で活用できる可能性がある」といわれています。

また、エクソソームを介したメッセンジャーとしての情報伝達の役割は、全ての生物・細胞が共通して持つものだとされています。さらに、エクソソームと新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は非常に似た形状をしており、大きさも同等です。そのため、特定のエクソソームがコロナ重症化の予測因子として使える可能性が指摘されています。

エクソソームを補充・除去することでコロナ治療に

第58回日本癌治療学会学術集会において落谷孝広(東京医大 分子細胞治療研究部門)が発表した「エクソソームによる新型コロナウイルス感染症の予防と治療」によると、エクソソームを補充・除去することでコロナ治療につながる可能性が指摘されています。

本研究は、PCR検査で新型コロナ陽性と診断され、病院へ入院した軽症患者31例と健常者10例を対象としたもので、エクソソームの血液中におけるRNA・たんぱく質を網羅的に解析したものです。解析の結果、その後重症化した9例で高値となった複数のRNAが同定されました。

軽症のまま回復に向かった患者は、陽性が判明した時点で、抗ウイルス応答に関連するエクソソームたんぱく質が高発現していました。一方、重症化した患者にはそれがなく、凝固に関連するエクソソームたんぱく質・RNA、肝障害に関連するRNAが高発現していました。

この研究で同定された分子のいくつかは、新型コロナウイルスの病態や治療標的分子との関連性が指摘されています。これは新型コロナの重症化メカニズムに関係している可能性があり、エクソソームやRNAを補充・除去することでコロナ治療につながるのではないかと期待されています。

ワクチンの予防効果を阻害する新型コロナ株に対するエクソソームの有効性

新型コロナでは、これまで使われていたマイクロRNAワクチンの予防効果を阻害するオミクロン株などが出現しました。このような新型コロナ株に対しても、エクソソームの有効性に関して研究が進められています。

金沢大学で実施された研究によると、抗ウイルス作用のあるサイトカインを含有させた改変エクソソームには、新型コロナの感染阻害効果があるのではないかと指摘されています。また、この改変エクソソームは、抗ウイルスの免疫応答を誘導する働きを持つことも判明しました。今後、これまで使われていたマイクロRNAワクチンに代わって、新型コロナの重症化・感染を予防する新たな方法として期待されています。

参考文献:「Preventing SARS-CoV-2 Infection Using Anti-spike Nanobody-IFN-β Conjugated Exosomes」

まとめ

この記事では、エクソソームと新型コロナワクチンに関する研究を紹介しました。先述のとおり、エクソソームには、新型コロナの新たな予防法・治療法・重症化の予測因子としての活用が期待されています。

同様にがんなどのさまざまな病気に関して研究が進められており、今後の進展にも期待が持てるでしょう。

記事監修

足立 真由美

医療法人 涼葵会 理事長
足立 真由美
Adachi Mayumi

経歴

2001年 和歌山県立医科大学卒業、同年大阪医科大学形成外科教室入局
大阪医科大学大学院医学研究科卒業 医学博士取得
2003年 医療法人東和会 第一東和会病院形成外科勤務
同院、美容皮膚科・美容外科の設立に携わり、管理責任医師を担当。
2010年 某美容クリニック院長に就任
2014年 大阪心斎橋に、今までにない新たなコンセプトの美容クリニック「W CLINIC」を立ち上げる。
2017年 医療法人涼葵会 理事長に就任
2019年 医療法人涼葵会 W CLINIC 梅田院 開院

プロフィール

美容医療の豊富な経験から美容医療の枠を超え、東洋医学・アーユルベーダ等のホリスティック医療を展開。「美は健康な身体から」をテーマに、美容クリニックとは思えない多彩なアプローチで、最新の美を提供する大阪で注目されるクリニック。

中木 義浩

管理医師 アレルギー外来医師
中木 義浩
Yoshihiro Nakaki

経歴

1986年大阪市立大学附属病院 耳鼻咽喉科・形成外科 勤務
1990年社会医療法人景岳会 南大阪病院 耳鼻咽喉科 勤務
1991年医療法人宝生会 PL病院 耳鼻咽喉科・形成外科 医長
1994年大阪市立北市民病院 耳鼻咽喉科 医長
1998年なかき耳鼻咽喉科 院長

資格

・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・補聴器相談医

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