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テストステロンとは
テストステロンとは男性ホルモンの一種で、男性の心と体の健康に深く関わっています。テストステロンには男性らしい体を作る働きや生殖機能を向上させる働きがあり、精神の安定や集中力・記憶力の向上などにも作用します。テストステロンは加齢とともに減少していくため、徐々に体の衰えを感じたりやる気がおきなくなったりと、さまざまな弊害をもたらします。このような状態を改善するのが「テストステロン補充療法」です。
テストステロンが増加することで以下の効果が期待できます。
1. アナボリック(タンパク質同化)作用の促進
タンパク質は筋肉組織の元ですが、細胞のタンパク質合成を効率的に促進します。
2. 窒素量の増加
筋肉内の窒素量を増加させることにより、アナボリック作用を促進します。
3. 赤血球の増加
赤血球を増加させることにより、筋肉の持久力や回復力などが向上します。
4. IGF-1(インスリン様成長因子1)の増加
強力なアナボリック作用のペプチドホルモンIGF-1の増加が見込めます。また、それにより身体の回復を早めるサポートが見込めます。
5. ストレスホルモンの抑制
心身のストレスによって急激に分泌されることから「ストレスホルモン」とも呼ばれているコルチゾールというホルモンを抑制します。
サスタノンとは
サスタノンは、本来テストステロンの⽋乏によって引き起こされる様々な健康上の問題 (男性の性腺機能低下症) の改善や⼥性から男性への性転換者の⽀持療法の目的で使用される薬剤です。
投与することで、テストステロン欠乏症の症状が改善され、男性化が誘導されます。具体的には骨密度と除脂肪体重の増加、体脂肪量の減少、性欲や勃起機能などの性機能の改善、コレステロール・中性脂肪の減少、インスリン感受性の改善・血糖値の低下が報告されています。また性転換者へのホルモン療法だけでなく、体質的に成長や思春期に遅れがある男児への二次性徴の発達の誘導などにも使用されています。
薬剤の特徴
-
サスタノンは4種類のテストステロンを
ブレンドした薬剤
サスタノンには以下の4種類の成分がブレンドされています。
・プロピオン酸テストステロン30mg
・フェニルプロピオン酸テストステロン60mg
・イソカプロン酸テストステロン60mg
・デカン酸テストステロン100mg
※サスタノン1mlあたり
4種類の異なるテストステロンは滞留期間が異なり、順番に効果を発揮することで効果は1ヶ月間持続します。
※効果が1カ月持続するといっても、基本的には週に1回注射をします。
筋量、筋力アップ共に抜群の効果があり、ボディビルダーの間でも非常に人気が高いステロイドです。
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テストステロン増加の効果について
サスタノンの投与は、血中のテストステロンの増加をもたらし、投与後約24~48時間で最高血中濃度到達時間に到達します。男性の血漿テストステロンレベルは、前回の投与から約21日で正常範囲の下限に戻ります。
女性から男性への性転換者において、サスタノンの単回投与を2週間ごとに繰り返したところ、2ヶ月、4ヶ月、12ヶ月の時点で、テストステロンの平均値が男性の正常範囲の上限に近づきます。
サスタノンの詳細
基本情報
成分:1ml中:プロピオン酸テストステロン 国際薬局方 30mg、フェニルプロピオン酸テストステロン 60mg、イソカプロン酸テストステロン 英国薬局方 60mg、デカン酸テストステロン 英国薬局方 100mg、ベンジルアルコール 国際薬局方 0.1ml、ピーナッツ油 国際薬局方 適量
効果:テストステロンの補充
副作用:陰茎肥大、持続勃起症、性欲亢進、体重増加、血清LDL-コレステロール減少、血清HDL-コレステロール減少、血清トリグリセリド値減少、多毛症、頭皮の脱毛、にきび、皮脂の分泌、クリトリスの肥大、嗄声、月経不順、乏精子症、女性化乳房、肝機能障害
使用方法
薬液を臀部・大腿部・上腕部等の筋肉の奥深く(深部筋肉注射)に投与します。
※250mg~750mgを週1回を目安に注射します。
※具体的な使用量、副作用の対処法等、詳細な使用方法は医師にご相談ください。
使用上の注意
投与量は個々の患者の病気と程度、薬の反応に合わせて異なるため、専門の医師の判断のもとテストステロンレベルを定期的にモニタリングする必要があり、またテストステロンレベルを確実に維持するために投与量を個別に調整する必要があります。通常使用におけるサスタノン250の投薬がされている場合、最初の1年間は3ヶ月毎、その後は毎年、以下のパラメーターについてモニタリングする必要があります。
・前立腺肥大症又は無症候性前立腺癌を除外するためのPSA値、直腸内触診の前立腺評価
・赤血球増加症(多血症)を除外するための採血フォローアップ
*長期のアンドロゲン療法を受けている患者では、血液濃度指標(Hb・Ht)、肝機能検査(AST・ALT・γ-GTP)、脂質プロファイル(総コレステロール・LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪値)などの検査パラメータも定期的にモニタリングする必要があります。
<大人(高齢者を含む)>
通常3週間に1回(1ml)の注射投与が基準となりますが、65歳以上の高齢者におけるサスタノン250の使用の安全性と有効性に関する臨床試験データは限られており、年齢別のテストステロン基準値については現在統一見解がありません。ただし、生理学的にテストステロンの血清レベルは加齢とともに低下することを考慮する必要があります。
<小児及び青少年>
安全性と有効性は十分に確認されていません。アンドロゲンを使用している思春期前の小児において望ましくない影響が報告されています。
<女性から男性への性転換者 支援療法>
2〜4週間に1ml/回の注射を基準に使用されます。性同一性障害の治療に関しては、ホルモン療法が必要ですが、サスタノン250による治療は、女性に男性化の兆候(嗄声、座瘡、多毛症、月経不順、脱毛症など)を誘発する可能性があります。
治療中は、個人に合わせた頻度と内容で定期検査を受けることが推奨され、以下を監視する必要があります。
・骨粗鬆症の兆候
・脂質プロフィールの変化
・乳がんの個人歴または家族歴
・子宮内膜がん及び卵巣がんの個人歴
専門家のアドバイスのもと子宮内膜がん及び卵巣がんのリスク増加の可能性を軽減するために、テストステロン治療の18~24か月後に子宮摘出術及び両側卵巣摘出術の検討を含めて継続的な監視を行う必要があります。
<以下に該当する方はご注意ください>
・腫瘍
乳癌、腎癌、気管支癌、骨格転移のある患者では、アンドロゲン療法中に高カルシウム血症または高カルシウム尿をきたす恐れがあり、ホルモン治療に対する腫瘍の陽性反応を示している可能性があります。まず高カルシウム血症または高カルシウム尿症に対しての治療が優先され、その後カルシウム正常値へ改善後にホルモン療法を再開する必要があります。
・既存の症状
重度の心不全、肝不全、腎不全、または虚血性心疾患を患っている患者において、テストステロンによる治療は、体内の水分貯留過多や浮腫を特徴とする重篤な合併症を引き起こす可能性があります。そのため症状出現時は直ちに治療の中止が求められます。また心筋梗塞、心不全、肝不全、腎不全、高血圧、てんかん、または片頭痛のある患者は、病気の悪化もしくは再発のリスクがあるため、注意する必要があります。兆候が見られた場合には、治療を直ちに中止する必要があります。
テストステロンは血圧上昇を引き起こす可能性があるため、高血圧症の男性に投与する際は注意して使用する必要があります。
・てんかん、片頭痛、高血圧
アンドロゲンが体液やナトリウムの貯留を引き起こす可能性があります。テストステロンは⾎圧の上昇を引き起こす可能性があるため、⾼⾎圧がある場合、または⾼⾎圧の治療を受けている場合は医師に伝えてください。
・睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群の疑いのある男性を治療する場合は注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群とテストステロンの安全性に関する証拠は十分ではありませんが、テストステロンが睡眠時無呼吸症候群を引き起こしたり、悪化させたりする可能性があると一部報告があります。肥満や慢性肺疾患などの危険因子を持つ患者には、適切な臨床判断と注意が必要とされています。
・凝固障害
テストステロンは、血栓形成傾向もしくは静脈血栓塞栓症(VTE)の危険因子を持つ患者には注意して使用する必要があります。これらの患者でのテストステロン療法の使用は血栓性イベント(深部静脈血栓症、肺塞栓症、眼血栓症)の報告があるためです。血栓形成性患者では、抗凝固治療中であってもVTE症例が報告されているため、テストステロン治療の開始・継続については慎重に評価する必要があります。治療を継続する場合は、個々のVTEリスクを最小限に抑えるために更なる措置を講じる必要があります。喫煙や肥満もリスクを上げます。
<他の医薬品との相互作用>
・インスリン注射および糖尿病治療薬
アンドロゲンは耐糖能を改善することができ、糖尿病患者におけるインスリンや他の抗糖尿病薬の必要性を減らす可能性があります。そのため糖尿病患者に対してサスタノン250治療を行うときは開始時、治療中、終了時を含め定期的にモニタリングする必要があります。
・抗凝固療法
高用量のアンドロゲンとサスタノン250 は、クマリン系抗凝固薬・ビタミンK拮抗薬(ワルファリンK錠、ワーファリン錠)の抗凝固作用に影響を及ぼし、作用を増強させます。そのため治療中はプロトロンビン時間に注意し、必要に応じて抗凝固剤の用量を減らす必要があります。
・ACTH またはコルチコステロイド
テストステロンと ACTH またはコルチコステロイドの同時投与は浮腫形成を促進する可能性があるため、これらの活性物質は、特に心臓疾患や肝臓疾患のある患者、あるいは浮腫の素因のある患者には慎重に投与する必要があります。
・てんかん薬
てんかんの治療に使⽤されるフェノバルビタール。肝臓で作られる酵素の量を変える薬(酵素阻害剤)のため、テストステロンレベルを上昇させる可能性があります。
禁忌
・妊婦、妊娠した可能性がある方、授乳中の方
・前立腺癌又は乳癌の既往歴、もしくは疑われる方
・ピーナッツ又は大豆アレルギーのある方
・3歳未満の小児
サスタノンについてよくあるご質問
- ドーピングテストの違反に該当するでしょうか?
- 世界アンチドーピング規定に該当しますので、アスリートの方などは服用にご注意ください。
- たくさん使用しても問題ないのでしょうか?
- テストステロン補充療法は比較的安全性の高い治療ですが、投与量が多いと血液中の濃度が高まり副作用が生じる可能性があります。そのため、治療中は3~6ヶ月ごとに血液検査が必要です。また、長期間にわたってテストステロン補充療法を行うと、精子を作る機能が抑制され男性不妊につながる可能性があります。将来子供を希望される方は、あらかじめ医師にご相談ください。